グラフェンナノリボンをイチからながーく作る

久々に研究の話.

大学オケの友人がnature chemistryにファーストオーサーでアクセプトされたというおめでたいお話をいただきましたので,簡単に紹介します.

Synthesis of structurally well-defined and liquid-phase-processable graphene nanoribbons : Nature Chemistry : Nature Publishing Group

グラフェンナノリボン(GNR)というのは,グラフェンという六角形のリング型をした炭素の集合体(クラスター)が,リボンみたいに一次元的に配列してるクラスターのことをいいます.実際に例えば今後トランジスタとかMEMSといったナノスケールの構造体にグラフェンを応用するとなれば,このGNRを使用するというのが理想的であるのです.なので品質の高いGNRの大量合成というものが大きく期待されているのです.元々GNRはグラフェンの一部を電子線やクラスターをぶつけて切り分けたり,カーボンナノチューブの一部をジッパーみたいに引き裂くことで合成していたのですが,こういうトップダウンプロセスでは思い通りの配向性を持ったGNRを作ることが難しい.つまり品質のあまりよろしくないGNRばかりがやたら出来るということで,それを解決する手段としてマックス・プランクのグループは原子スケールからボトムアッププロセスで自由に配向性を持たせたGNRを合成することをやっているらしいです.実際3年前にNatureにその業績が掲載されています.彼が留学したのがおそらくこの時期なので,その後にこれの続きでいろいろやってたのでしょう.ボトムアッププロセスで作れちゃうことがわかったので,それをどんどん伸ばしていったら200nmぐらいまで合成出来て,それで電子の輸送係数を測定したらえらい数字になったよということです.自分は有機化学というか,もともと化学自体ちんぷんかんぷんの門外漢なので,Methodについては全然わからないのですが,ともかく配向性のもったグラフェンを自由に設計できて,実用的な長さにまで大きく出来るようになったというのは,グラフェンの電気的特性の評価を進めていく上ではとても大きな足がかりとなる研究であると思います.すごいね!

とまあ研究の内容も素晴らしいのですが,個人的にはやはりデータのまとめ方,見せ方というのがとてもシンプルで無駄がなくてすごいなぁと思いました.まあオーサー欄いっぱいいっぱいだしね...研究の分野もわりと近い(扱っているシロモノという意味で)のでとても参考になりました.もうすぐ卒業できそうということで,彼の今後の活躍を期待しつつ応援しつつ,ほんとうに頑張って欲しいです.自分もがんばろう.


About しゅ

修士課程終了後、某素材メーカーに就職→1年2ヶ月後退職、大学に戻り2011年10月から博士課程在籍。 専門は表面機能材料およびトライボロジー、特にナノカーボン材料の合成プロセスと物性解析。 妻子持ち。7歳長男、2歳長女。 2013年4月よりJSPS特別研究員(DC2) Twitter @sss7sss77 Facebook shu.sawai
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