もう就職するための大学ですらないのかもしれない

ユニクロが大学1年から採用するよという話を聞いて。

asahi.com(朝日新聞社):ユニクロ、新卒一括採用を見直しへ 大学1年で採用も – ビジネス・経済

いわゆる新卒一括採用に対するアンチテーゼというか、いろいろと改革の早いユニクロがやりそうだなぁという話。いくつかの疑問点を除けばすごい画期的なアイデアなのでぜひぜひ頑張ってもらいたいと思います。

問題点はこちらのブログにも書いてあるとおりのことで、大体は共感できる内容。

青田買いの何が悪い? – 雑種路線でいこう

多分大学1年のときに採用というのは本当に極端な話であるが、それでも採用が決まったあとは将来の幹部候補生ということで、店舗でずっと働いてもらうというのは、はたして上手く行くのかな、と思う。そもそもその時期から将来を見据えて入社しようという元気な学生であれば、先日会社を辞めましたエントリで注目された高木さんのようなコンセプトを抱えたような人である場合も多く、卒業後に果たして入社してくれるかというとそんな保証はない。法的な拘束力は知らないが、少なくともそういう人はちょうど卒業の時期に差し掛かって次のステップにそのまま進んでいくかどうか悩むはずである。

一方で、早くから入社を決めておけば、英語などの外国語や財務・ファイナンス・経営などの専門知識の修得に集中できるというメリットもあるとは思う。ただしそれを学べる場所が果たして大学なのか?という疑問は残る。もちろん大学にもそれに関する講義はあるのだろうが、どちらかというと専門的な内容となって、そのまま実務に活かせるかとなると若干疑問に残る。それよりも例えば英会話スクールだとか専門学校だとか、そちらに通わせるようにさせたほうが現実的な気がする。

となると、本当にユニクロが採用する気があるとなれば、「もう大学は辞めてください、将来のエリートとしての知識・技能を習得してください」とガツンと言ったほうがいい気がする。となるともう大学は要らないよね、ということになる。実際ITベンチャーとかだと先のエントリの人のように、そちらに熱中して大学は全然行かないとか、そうなるのはしょうがないと思う。これはもう映画とかそういう次元でしかない情報だけど、Facebookを立ち上げたザッカーバーグやモスコビッツなども大学の講義なんてほったらかしにしてたし。じゃあ大学ってなんなの?ということになる。こういう話をすると大体深みにはまるので深くコミットはしないけど、とりあえず従来のような教育機関という側面だけ抱えてても将来的に見通しとしてあまり良くない気がする。

一方でライフネットの出口さんはこうおっしゃる

もう一つの理由は、トップ人材のレベルの低さです。グローバル企業の標準はドクターか最低でもマスターです。しかし現在の大学生のレベルは低い。ほとんどの学生は学部までしか行かず、しかも青田買いですから、ほとんど勉強しないですよね。だから、ちゃんと話すコンテンツがない。さらに英語も話すことができないから、コミュニケーションもできない。コンテンツもコミュニケーションもない人が、企業のエスカレーターを上がっていくわけですから、外国のグローバル企業に勝てるはずがない。

これは大学のセンセイも同じことを仰っていて、ただ的を得ているようでイマイチな議論だと思う。確かに製造業などでよく相手企業がドクターを連れてきたらこっちもドクターを連れてこないと話さえ出来ないとかそういう話は聞くけど、それはそういう専門性を必要とするコンテンツが必要な場合なのか、それともドクターを取ったからそれ相応のプレゼンスがあるということなのか、ここが曖昧だなぁと最近つくづく思う。ドクター取っても人間的にオワコンな人はよく見かけるし、それに従来の日本企業がドクターを忌避してきた現実もあるわけで、それならここでいうコンテンツやコミュニケーションを育てる責任というのは、大学ではなく採用する企業にあるわけである。それを大学生の本分のせいにするというのはどうなのかなぁ。。。むしろ昔よりも能力的には高いだろうし、それよりも中国やインドのような新興国の学生のレベルの上がり方が半端ないから、どうしても見劣りするのだろう。

結局のところ、今日本の経済というのがデジタル技術によるグローバル化と製造業の衰退という曲がり角に来ていて、大きな変革が求められているわけで。そうなるといわゆる明治維新だとか戦後復興などに例えられるけれども、それくらいの状況には近付いていると思う。むしろ高度成長期以降にぬくぬくと大学で勉強出来た時代の方が稀有なんじゃないかなぁとも思う。今はそんな余裕がないから、大学で勉強してもしょうがないと思うなら早めに見切りをつけて、自分の能力を発揮したり、新しいスキルを身につけたり、それで社会に貢献できるならそのほうが自分にとっても周りにとっても幸せなんじゃないかなぁ。


About しゅ

修士課程終了後、某素材メーカーに就職→1年2ヶ月後退職、大学に戻り2011年10月から博士課程在籍。 専門は表面機能材料およびトライボロジー、特にナノカーボン材料の合成プロセスと物性解析。 妻子持ち。7歳長男、2歳長女。 2013年4月よりJSPS特別研究員(DC2) Twitter @sss7sss77 Facebook shu.sawai

3 Responses to “もう就職するための大学ですらないのかもしれない”

  1. 上田洋行 2011/11/25 at 9:09 PM # 返信

    はじめまして、上田洋行と申します
    これまでのエントリーも含めて、興味深く読んでいます。
    facebookを覗いたところ、同い年のようです。共通の友人に波床がいましたので、言ってみれば友人の友人になりますね。(私は小学校の塾が同じでした)

    私は修士終了後、大手電機メーカーで半導体材料の研究をしています。
    ナノテクの最先端に携わることができたり、リクルーターとして採用活動に関わることができてそれはそれで良い経験を積むことができているのですが、色々と思う所もあるわけです。そんな現状の中で、こんかいのエントリーには共感しました。
    メーカーが苦しんでいるのは業界構造の変化が本質的な理由だと思うのですが、私がその状況をどうこうできる訳ではないとも思います。そこで、会社やこれまでの専門性には囚われず、自分ができることで社会に貢献できると思うことをやろうと決断して次に進もうとしています。

    そこで、良ければ今後何らかの形で意見交換ができればいいなと考えておりますので、ぜひご返信いただければと思います。

    • しゅ 2011/12/13 at 11:27 AM # 返信

      コメントありがとうございます。
      返事が遅れてすみませんでした。

      仰るとおり、グローバルの過当競争の中でメーカーには業界構造の刷新を迫られているのはどうしようもない外圧で、個人の力ではどうしようもありません。
      私も前職で勤めているときは、現場でのダイナミックなモノづくりに貢献でき充足感はあったのですが、ふと会社から少し離れた位置で客観的に今の状況を見てみると
      本当に自分がこのままありのままのキャリアを進んでいっていいのだろうかという不安がありました(そういう訳で会社を辞めたのですが)。

      しかし今回博士課程に戻ってみて改めて感じたこともありまして、例えば博士課程後のキャリアですとか(いわゆるポスドク問題など)
      そもそも新卒一括採用の意義であるとか、すごい非合理というか不思議なところもあったわけです。
      それならまだ今回のユニクロのような採用姿勢は面白いと思うと同時に、なんか宙ぶらりんに感じるところもありました。
      これがおそらく大学のこれから担う役割について、本エントリーで書かせていただいた内容です。

      このあたりの話は、わりと個人的にも興味の強いところですので、ぜひぜひ意見交換を行いましょう。
      波床と同じ塾・・・ということは私とも結構近い関係かもしれませんね笑
      どうぞよろしくお願いいたします。

  2. 上田洋行 2011/12/16 at 1:23 AM # 返信

    返信いただきありがとうございます。
    facebookで友達申請をしておきましたので、良ければ今後はfacebook上で
    やりとりができれば良いなと思っています。

    多分私は会社を辞めようと思っている時の澤井さんくらいのフェーズにいると思います。企業を知ってから博士課程に進むと直接進学した時とはものの見方が全然違うんでしょうね。
    話しだすとかなり長くなる気がすごくしてるのですが笑、とりあえず、会社を辞める時の一連の流れを教えて頂けると嬉しいです。

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